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レジン(プラスチック/保険適用)とセラミック(保険適用外)の違いは?メリットとデメリット

レジン(プラスチック/保険適用)とセラミック(保険適用外)の違いは?メリットとデメリット
医療法人社団ハーツデンタルクリニック 院長(歯科医師、歯学博士)監修
監修者 歯科医師 永橋克史 ハーツデンタルクリニック西白井駅前の院長。城西歯科大学(現 明海大学)卒業。仕事でうれしい時は思うような治療ができ、患者様に喜ばれ、お礼を言われたとき。
ハーツデンタルクリニック西白井駅前
監修者 歯学博士 高田耕司 日本歯科麻酔学会認定医、歯学博士。麻酔での無痛治療を得意としている。
ハーツデンタルクリニック八千代中央駅前
監修者 歯学博士 加瀬武士 ハーツデンタルクリニック谷塚駅前の院長。日本大学歯学部歯学科卒業。補綴学を専門分野としている。
ハーツデンタルクリニック谷塚駅前
レジン(プラスチック/保険適用)とセラミック(保険適用外)。虫歯治療で歯を削った後に、どちらを選択するか迷われる方も多くいらっしゃるでしょう。レジンとセラミックは、どちらも白い素材ではあるものの性質が大きく異なります。今回は、レジン(硬質レジン)とセラミックの違いや、それぞれのメリットやデメリットについて詳しく解説します。

 

レジンとは?

 

レジンは「歯科用プラスチック」です。色調や強度、硬さなどが歯科治療用に改良されていて、診療の現場で非常によく使われます。

 

レジンのメリット

 

レジンには、次に挙げるようなメリットがあります。

 

見た目が自然

 

レジンには、いろいろな種類がありますが、人工歯に用いられるものは「白色」です。白のバリエーションもいくつか存在し、治療の際にはそれぞれの患者さんの歯の色にある程度近づけられ、見た目を自然にすることができます。天然歯列と調和しやすい点は、銀歯との大きな違いでしょう。

 

ちなみに、入れ歯の床(しょう)の部分に使われている素材は「アクリルレジン」と呼ばれるもので、ピンク色をしており、人工歯のレジンとは見た目や強度もかなり異なります。

 

材料費が安価

 

歯科治療で用いるレジンは、原材料費が非常に安価です。したがって虫歯をレジンのみで治療する場合は、3割負担で1,500~3,000円程度でおさまります。歯科治療の費用面を重視する人にとって材料の安さは、非常に大きなメリットでしょう。

 

扱いやすい・修理しやすい

 

レジンは、虫歯の穴に流し込んで光で固めるという手法で取り付けます。早ければ、1~2日で虫歯治療が完了するため患者さんの心身にかかる負担を最小限に抑えられます。また、レジンには壊れたり、変色したりした場合の修理がしやすいというメリットもあります。レジンは非常に取り扱いやすい材料で、欠けた部分に盛り足すことも可能です。

 

歯を削る量を抑えられる

 

レジンのみで歯を治療する場合は、歯質を削る量を最小限に抑えられます。もちろん、金属も使用して被せ物を装着するとなると、それなりに削らなければなりませんが、セラミックほど多くはありません。

 

レジンのデメリット

 

レジンには多くのメリットがある一方で、次に挙げるようなデメリットがあります。

 

強度が低い

 

レジンの強度は、銀歯やセラミックよりも低いです。強い力が加わると割れる場合があり、長く使っていると表面が摩耗してきます。

 

変色しやすい

 

レジンは、見た目も比較的自然なので、治療直後はその仕上がりに満足される方が多いのですが、あくまでプラスチックなので劣化も比較的早く、もともと白かったものがだんだんと黄ばんでしまい、歯の審美性が低下します。また、レジンは、食べ物や飲み物の色素を吸着しやすい性質があります。さらには臭いの物質も引き寄せやすいので、口臭の原因にもなり得ます。

 

歯科医師の技術で仕上がりが大きく変わる

 

虫歯などで失った歯質をレジンで補う場合は、歯科医師の技術によって仕上がりも大きく変わります。歯の噛む部分であるデコボコとした隆起(りゅうき)などを歯科医師が手作業で再現する場面もあるからです。

 

使える歯に制限がある

 

前述したようにレジンは強度が低いため、使える歯に制限があります。レジンは、前から5番目の歯 (第二小臼歯) までが保険を使って被せることが可能です。 しかし、6番目以降の歯(大臼歯)の治療で保険を使って被せることのできる被せ物は銀歯だけです。

 

セラミックとは?

 

セラミックは、歯科用陶材(しかようとうざい)とも呼ばれる素材で、食事の際に使用する陶器とほぼ同じものと考えて間違いありません。光沢のある白い陶器をイメージするとわかりやすいでしょう。プラスチックのレジンとは、見た目は似ているものの根本的に異なる素材なのです。

 

セラミックの種類

 

歯科治療で用いるセラミックには多くの種類があります。ここでは、いくつかのセラミックの種類をご紹介します。

 

ハイブリッドセラミック

 

ハイブリッドセラミックは、レジンとセラミックを組み合わせた素材です。ガソリンで動くエンジンと電気で動くモーターを組み合わせたハイブリッドカーの“ハイブリッド”と同じ意味で、レジンとセラミック両方の性質を兼ね備えています。

 

つまり、標準的なレジンよりも審美性や強度に優れているものの純粋なセラミックには劣ります。治療にかかる費用もレジンとセラミックの中間くらいです。

 

ジルコニア

 

ジルコニアは、人工ダイヤモンドとも呼ばれる材料で、金属に匹敵するほどの硬さを備えています。標準的なセラミックの「割れやすい」という弱点を克服した素材で、白くて美しい見た目です。

 

ただし、標準的なセラミックのような透明感と光沢はなく、審美面においてはやや劣ります

 

ポーセレン(標準的なセラミック)

 

ポーセレンは、標準的なセラミックの一種です。歯の表面にセラミック製のチップを貼り付ける「ラミネートベニア」や金属の土台にセラミックを盛り付ける「メタルボンド」の素材として主に活用されています。天然歯の色調や光沢、透明感、質感を再現しやすく、非常に優れたセラミック材料といえるでしょう。

 

セラミックのメリット

 

セラミックには、次に挙げるようなメリットがあります。

 

見た目が天然歯にそっくり

 

セラミックの見た目は、天然歯に酷似しています。歯科材料の中で最も審美性に優れています

 

強度が高い

 

セラミックは、レジンよりも高い強度を持っています。経年的な摩耗も起こりにくく、長く使い続けられる材料です。

 

変色しにくい

 

セラミックは経年的な変色も起こりにくい材料です。治療をした当初の状態を3年後、5年後まで維持するのも難しくありません。レジンのように臭い物質を吸着することもなく、汚れも付着しにくいというメリットがあります。

 

虫歯の再発リスクが低い

 

セラミックは、歯質との適合性が高く、虫歯菌が侵入しにくいため、虫歯の再発リスクが銀歯やレジンよりも低くなっています。

 

金属アレルギーのリスクがない

 

土台などに金属を使わなければ、金属アレルギーのリスクはゼロです。

 

セラミックのデメリット

 

セラミックは多くのメリットがありますが、次に挙げるようなデメリットもあります。

 

保険が適用されない

 

セラミックは原則として保険が適用されず、費用負担が大きくなりがちです。

 

強い衝撃で割れることがある

 

セラミックは強度が高い素材ですが、陶器のお皿と同じように極端に強い衝撃が加わると割れる場合があります。ただし前述したようにジルコニアであれば、そのリスクを取り除けます。

 

歯を削る量がやや多くなる

 

セラミックで詰め物・被せ物を製作する場合は、レジンや銀歯よりも歯を削る量がやや多くなります。

 

レジンとセラミックどっちがおすすめ?

 

ここまで、レジンとセラミックの特徴について解説してきましたが、どっちがおすすめなのでしょうか。

 

レジンがおすすめな人

 

次のような方には、レジンがおすすめです。

  • 歯科治療にかける費用をとにかく抑えたい
  • 診療時間を短くしたい

レジンは安価ですし、最短1日で治療が終了するケースもあります。

 

セラミックがおすすめな人

 

次のような方には、セラミックがおすすめです。

  • 詰め物・被せ物の審美性を追求したい
  • 虫歯の再発リスクを抑えたい
  • 歯の美しさを長持ちさせたい

 

まとめ

 

レジンとセラミックは似て非なる材料であり、それぞれのニーズに応じて最適なほうを選ぶことが大切です。もちろん、ケースによっては銀歯が適している場合もありますので、歯を治療する素材に迷っている方は、まず、歯医者さんに相談しましょう。

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