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その歯の黄ばみは「酸蝕症/さんしょくしょう」が原因かも?

その歯の黄ばみは「酸蝕症/さんしょくしょう」が原因かも?
医療法人社団ハーツデンタルクリニック 院長(歯科医師、歯学博士)監修
監修者 歯科医師 永橋克史 ハーツデンタルクリニック西白井駅前の院長。城西歯科大学(現 明海大学)卒業。仕事でうれしい時は思うような治療ができ、患者様に喜ばれ、お礼を言われたとき。
ハーツデンタルクリニック西白井駅前
監修者 歯学博士 高田耕司 日本歯科麻酔学会認定医、歯学博士。麻酔での無痛治療を得意としている。
ハーツデンタルクリニック八千代中央駅前
監修者 歯学博士 加瀬武士 ハーツデンタルクリニック谷塚駅前の院長。日本大学歯学部歯学科卒業。補綴学を専門分野としている。
ハーツデンタルクリニック谷塚駅前
歯の黄ばみといえば、コーヒーや紅茶、カレーといった着色性の強い食品を毎日飲んだり、食べたりすることが主な原因として挙げられますが、「酸蝕症(さんしょくしょう)」という少し変わった病気が関係していることもあります。ここではそんな酸蝕症(さんしょくしょう)の原因や症状、治療法、予防法について解説します。

 

酸蝕症について

 

酸蝕症(さんしょくしょう)は、虫歯や歯周病ほど有名な病気ではなく、初めて名前を耳にしたという方もいらっしゃることでしょう。実は生活習慣とも関わりが深い病気であり、その症状や原因について詳しく知っておいたほうがよいと言えます。

 

そもそも酸蝕症とは

酸蝕症(さんしょくしょう)とは、酸性の物質によって歯が溶ける病気です。それだけ聞くと「虫歯」を思い浮かべる人が多いのですが、虫歯は除外されます。なぜなら、酸蝕症(さんしょくしょう)で歯が溶けるプロセスには、細菌が関与していないからです。つまり、「虫歯菌がつくる酸以外の酸性物質で歯が溶ける病気」と言い換えることもできます。

 

酸蝕症の原因

酸蝕症(さんしょくしょう)の原因は次の通りです。

■酸性の飲み物・食べ物

  • スポーツドリンク
  • 清涼飲料水、ジュース
  • 果物
  • お酢
  • クエン酸

 

誰もが毎日口にする機会がある飲み物・食べ物ばかりです。これらを頻繁に口にすることで、酸蝕症(さんしょくしょう)を発症することがあります。

 

■胃酸

  • 摂食障害(繰り返し嘔吐する癖)
  • 逆流性食道炎

 

私たちの唾液はpH7.0でほぼ中性ですが、胃酸のpHは1.0となっており、酸性度が極めて高いです。そんな胃酸が摂食障害による嘔吐や逆流性食道炎によって習慣的に歯と接触すると、エナメル質や象牙質が徐々に溶けていきます。

 

■酸性ガス

  • メッキ工場、ガラス工場で働く人

 

メッキ工場やガラス工場は、酸性のガスが発生しやすい環境にあります。酸性のガスを毎日吸い込んでいると、歯が酸性の刺激にさらされて徐々に溶けていきます。そのため、酸性のガスがある中で働いている人には、歯科医師による特殊健康診断を受けることが義務付けられていることが多いです。

 

歯が黄ばんで見える?酸蝕症の症状

酸蝕症(さんしょくしょう)の症状には、歯の黄ばみを筆頭に、さまざまな症状があります。

 

■歯が黄ばんで見える

酸蝕症(さんしょくしょう)による歯の黄ばみは、象牙質の露出です。酸によってエナメル質が溶けてしまい、その下にある黄色い象牙質が露わになることで、歯が黄ばんで見えるようになります。酸性刺激で軟らかくなった歯質に色素が沈着することも、歯の黄ばみの原因のひとつとして挙げられます。

■歯が丸みを帯びる

歯が本来の形よりも丸みを帯びるようになった場合も酸蝕症(さんしょくしょう)が疑われます。歯というのはとても硬くて丈夫な組織なので、酸性の刺激にさらされない限りは短期間で溶けていくようなことはありません。

■冷たいものがしみやすくなる

知覚過敏の症状も酸蝕症(さんしょくしょう)ではよく認められます。酸蝕症(さんしょくしょう)ではエナメル質が薄くなったり、象牙質がむき出しになったりするので、歯の神経に刺激が伝わりやすくなります。その結果、冷たい食べ物・飲み物がしみる知覚過敏の症状も目立つようになります。歯が大きく損傷している場合は痛いと感じることもあります。

■詰め物・被せ物が取れやすくなる

虫歯治療で入れた詰め物・被せ物は、虫歯の再発によって取れることが多いのですが、酸蝕症(さんしょくしょう)が原因となることもあります。酸蝕症(さんしょくしょう)は歯質が溶けていく病気であり、その症状が進行すると詰め物・被せ物の形が歯に合わなくなるからです。

 

そのため、虫歯は再発していないのに繰り返し詰め物・被せ物が外れてしまう場合は、酸蝕症(さんしょくしょう)もひとつの原因として考える必要があるでしょう。

 

酸蝕症の検査・診断方法

酸蝕症(さんしょくしょう)は主に視診(ししん)で診断することが可能です。目で見て検査する方法で、歯科医師であれば酸蝕症(さんしょくしょう)と虫歯を明確に見極めることが可能です。そもそも酸蝕症(さんしょくしょう)というのは、1つの歯だけに認められる病気ではなく、複数の歯に症状が現れるのが一般的です。その点が虫歯との最大の違いと言えます。

 

もちろん、虫歯との区別が難しい場合は、ピンセットで歯に触れたり、レントゲン撮影を行ったりした上で最終的な診断を下します。メッキ工場やガラス工場で働く人が受ける特殊健診も診断方法はほぼ同じです。

 

酸蝕症の予防法

 

酸蝕症(さんしょくしょう)にかかると歯の黄ばみだけでなく、歯が溶けることでさまざまなリスクが生じますので、予防するにこしたことはありません。次に挙げるような点に注意して、酸蝕症(さんしょくしょう)の予防に努めましょう。

 

ダラダラ食べ・チビチビノミをしない

ダラダラと食事をしていると、歯が酸性の刺激にさらされる時間が長くなるため、酸蝕症(さんしょくしょう)のリスクも上昇します。特にワインをチビチビ飲みながら食事をしている人は要注意です。

また、夏場などの水分補給でスポーツドリンクを頻繁に飲むこともあまりおすすめできません。スポーツドリンクは酸性度が高いだけでなく、糖分もたくさん含まれており、酸蝕症(さんしょくしょう)と虫歯のリスクが上昇します。水分補給のために頻繁に飲むのであれば、水が適しています。

 

眠る直前に飲食しない

睡眠中は、お口の中を中性に保つ唾液の分泌量が低下します。ですから、眠る直前に飲食すると酸性の状態が長く続くことになり、酸蝕症(さんしょくしょう)のリスクが高まってしまいます。眠る前は水以外何も口にせず、歯磨きやマウスウォッシュで口内をリフレッシュするようにしましょう。

 

唾液をたくさん出す

酸性に傾いた口内環境を中性に脅してくれる唾液を普段からたくさん出すようにしていると酸蝕症(さんしょくしょう)にかかりにくくなります。具体的には、キシリトールガムを噛んだり、唾液腺マッサージをしたりするとよいでしょう。食事の際もよく噛むことで唾液の分泌が促されます。

 

フッ素で歯を強くする

歯に対する酸性の刺激をゼロにすることは不可能なので、酸蝕症(さんしょくしょう)の予防効果を高める上では“歯を強くする”ことも有効です。フッ素入りの歯磨き粉を常用したり、歯科医院でのフッ素塗布を定期的に受けたりすることで歯質が強くなり、酸性の刺激への抵抗力が高めることができます。

 

酸蝕症の治療法

酸蝕症(さんしょくしょう)によって溶けた歯は、詰め物や被せ物で修復します。溶け出した歯質が少なければコンポジットレジン(プラスチックの修正材料)を充填して即日、治療を完了させることも難しくありません。ただ、酸蝕症(さんしょくしょう)は虫歯と異なり、複数の歯に症状が認められることが多く、その分、治療に時間がかかります。

虫歯のように菌に侵された歯質を削るという処置は必要ありませんが、多数歯に及ぶ病気であるため、通常の虫歯治療とは少し違った処置になる点にご注意ください。ちなみに、酸蝕症(さんしょくしょう)で歯の神経が露出してしまった場合は、通常の虫歯治療と同様、歯の神経を抜く処置から根管治療までを行わなければならなくなります。

 

歯が溶ける酸蝕症は虫歯リスクも上昇させる?

酸蝕症(さんしょくしょう)は、非感染性の病気なので、虫歯菌とは一切関係がありませんが、間接的に虫歯リスクを上昇させます。なぜなら、酸によってエナメル質や象牙質が軟らかくなると、虫歯菌も感染しやすくなるからです。

 

そればかりか酸蝕症(さんしょくしょう)の状態で虫歯にかかってしまうと、歯が溶けていくスピードも加速していきます。あっという間に歯の神経にまで感染が広がって、虫歯の重症化も免れませんので、酸蝕症(さんしょくしょう)はできる限り予防するようにこころがけましょう。

 

まとめ

 

このように、酸蝕症(さんしょくしょう)は虫歯以外の原因で歯が溶ける病気であり、歯が黄ばむ症状も認められます。一般の人が通常の歯の着色や虫歯による変色と区別するのは難しいため、気になる症状が認められたら歯科医院を受診することをおすすめします。

 

虫歯のような進行性の病気ではないにしても、根本的な原因となっている生活習慣が続く限りは歯の黄ばみや溶け出しが進んでいくため十分にご注意ください。

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